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世界の熱帯魚主要輸入国(輸入額ベース)

 

世界の観賞用熱帯魚(生きた観賞魚)の輸入市場は、アメリカ合衆国および欧州が最大規模で、さらにアジアや中東の新興市場も台頭しています。最新の統計では、2023年時点で以下の国・地域が主要な熱帯魚輸入先となっています。

  • 米国: 約8,225万ドル(重量約449万kg) – 単一国家として最大の輸入国。

  • 欧州連合(EU): 約5,418万ドル(約104万kg) – EU全体では米国と並ぶ規模の市場。ただし加盟国内部ではドイツ、フランス、オランダ、スペイン、イタリア等が大きなシェアを占めます。

  • 中国: 約4,092万ドル(約42.6万kg) – アジア最大の輸入国で近年急成長。高価な観賞魚需要の増加が背景にあります。

  • 英国: 約2,078万ドル(約84.9万kg) – 欧州有数の市場(EU離脱後は単独統計)。

  • マレーシア: 約1,847万ドル – 東南アジア内の大きな市場。自国でも生産がありますが、一部観賞魚を他国から商業輸入しています。

  • 日本: 約1,696万ドル(約11.7万kg) – 東アジアの主要市場の一つ。熱帯魚飼育人口が多く、独自の高級魚需要もあります。

このほか、ドイツ(約1,385万ドル)やフランス(約1,205万ドル)、シンガポール(約1,193万ドル)、カナダ、香港、韓国、UAE(アラブ首長国連邦)なども上位に挙がっています。特にUAEなど中東の国々は近年成長著しい新興市場です。

簡単に順位だけまとめるとこんな感じです。

世界の熱帯魚主要輸入国(輸入額ベース)

  1. 米国(約8,225万ドル、約449万kg)
    単一国家として最大の輸入国。

  2. 欧州連合(EU)(約5,418万ドル、約104万kg)
    EU全体では米国と並ぶ規模の市場。特にドイツ、フランス、オランダ、スペイン、イタリアが大きなシェアを占める。

  3. 中国(約4,092万ドル、約42.6万kg)
    アジア最大の輸入国で、近年急成長。高価な観賞魚の需要が増加。

  4. 英国(約2,078万ドル、約84.9万kg)
    欧州有数の市場。EU離脱後は単独での統計。

  5. マレーシア(約1,847万ドル)
    東南アジア内の大きな市場。自国内でも生産があるが、一部観賞魚を商業輸入。

  6. 日本(約1,696万ドル、約11.7万kg)
    東アジアの主要市場の一つ。熱帯魚飼育人口が多く、高級魚の需要も特徴的。

  7. ドイツ(約1,385万ドル)
    EU内でも有力な市場の一つ。

  8. フランス(約1,205万ドル)
    EUの主要輸入国の一つ。

  9. シンガポール(約1,193万ドル)
    世界的に観賞魚の流通拠点として機能。

  10. UAE(アラブ首長国連邦)
    近年急成長中の新興市場。中東での熱帯魚人気が拡大。

日本はなんと6位という結果に。EUは集合体なので比較は難しいところですが、イギリスとマレーシアの方が上位に来くる結果となっています。

 

熱帯魚輸入量の長期推移・トレンド

 

熱帯魚の国際取引は、過去数十年でゆるやかに拡大しつつ、主要市場の構成が変化してきました。

  • 世界市場規模の成長: 世界の観賞魚貿易額は1992年時点で約2億4,700万ドル(輸入統計ベース)でした。その後拡大し、2020年には約3億3,000万ドルに達しています。ただし成長率は緩やかで、全世界貿易に占める割合は0.002%程度と小規模なニッチ市場です。

  • 主要輸入国の変遷: 1990年代初頭には米国(世界シェア約26%)と日本(同17%)が二大輸入国でした。欧州ではドイツ・英国・フランスが各7~9%を占める状況でした。その後、日本の相対的シェアは縮小し、中国が台頭しています。2020年には輸入額上位に米国(約6億3,700万ドル)と中国(約3億0,100万ドル)が並び、中国が世界第2位の輸入国となりました。一方、日本は世界シェア5%前後(2023年で約1,696万ドル)にとどまっています。

  • 欧米市場の動向: 欧州は長らく最大の地域市場でしたが近年は伸び悩み傾向です。EU全体(英国含む)の輸入額は2018年頃に約8,400万ドルでしたが、2023年には欧州(EU+英国)合計で約7,400万ドル程度とやや減少しています。これには欧州での規制強化や嗜好の変化、ブレグジットによる統計上の分類変更なども影響しています。一方、米国市場は堅調に拡大し、同期間に約6,530万ドルから8,225万ドルへと増加しました。米国は現在も単一国として最大の輸入国であり、その市場規模は欧州全体に匹敵します。

  • 新興市場の拡大: 中国をはじめとするアジア新興国や、中東産油国など富裕層の多い国々で観賞魚需要が急増しています。中国は2000年代以降に飼育人口が増え、輸入額も世界有数となりました。中東ではUAEやクウェートなどが高額な熱帯魚を積極的に輸入するようになり、UAEは「近年最も成長している輸入国の一つ」と報じられています。これら新興市場の参入により、世界の需要構図は多極化しつつあります。

 

各国・地域の市場傾向と人気の品種・価格帯

米国・欧州の市場動向(大量消費型)

 

米国や欧州の熱帯魚市場は大量の安価な淡水魚が中心です。流通量の約90~96%は淡水産の観賞魚で占められており、大半が商業養殖されたものです。例えばグッピー、テトラ(ネオンテトラなど)、エンゼルフィッシュ、ソードテール、プラティといった卵生・卵胎生魚や、金魚・錦鯉など昔から親しまれる品種が大量に取引され、主要マーケットシェアを占め続けています。これらの一般的な熱帯魚は卸売価格が非常に安価で、1匹あたり数十セント(数十円)程度で取引される場合もあります。実際、米国で輸入される淡水観賞魚の平均単価は卵生魚で約0.45ドル、ライブベアラー(グッピー等)で0.22ドルという報告もあります。

欧米では海水魚(海産の熱帯魚)の人気も2000年代以降高まりを見せています。映画『ファインディング・ニモ』などの影響でカクレクマノミ等が注目され、水槽技術の発達も相まってサンゴ礁の海水魚や無脊椎動物を飼育するリーフアクアリウムが一種のブームとなりました。これにより海水系の観賞魚市場も拡大傾向にあります。ただし取引数量の大部分(9割以上)は依然として淡水魚であり、海水魚は数としては全体の4%程度にとどまります(重量ベース。米国例)。海水魚は一匹あたりの価格が高いため価値ベースでは2割前後を占めますが、主役はあくまで安価でカラフルな小型淡水魚です。

アジア(中国・日本など)の市場動向(高級志向・多様性)

 

アジアの主要市場(中国や日本、東南アジア諸国)では、欧米と同様に一般的な熱帯魚も消費されますが、高級志向の観賞魚需要が際立つ点が特徴です。中国や東南アジアの富裕層の間では、大型で希少な観賞魚がステータスシンボルとして好まれ、高値で取引されています。代表例が**アジアアロワナ(龍魚)**で、その鮮やかな赤や金の個体は風水的に幸運をもたらす魚とされ、中国を中心に絶大な人気があります。アロワナは一匹数百ドルから、高品質な個体では数万ドル、特別な品種では数十万ドルに達することもあります。実際、シンガポールで幼魚が300ドル程度、珍しい白変種の成魚が7万ドル以上で取引された例も報告されています。

また錦鯉や大型シクリッド、プレコ、ポリプテルスなどマニア向けの観賞魚もアジア市場で根強い人気があります。日本は古くから錦鯉の品種改良が盛んで、高級錦鯉は欧米や中国へ輸出されるほど人気です。一方で日本国内の熱帯魚ファンはディスカスやカージナルテトラなど南米アマゾン産の魚にも強い関心があり、そうした野生の珍魚をブラジルやコロンビアから輸入する動きも見られます。実際、2023年の日本の熱帯魚輸入先を見ると、インドネシアやタイなど東南アジアからの養殖魚に加え、ブラジルやコロンビアからの輸入も上位に入っています。これはアマゾン産のテトラ類やシクリッド類など、日本市場で人気のある野生魚が定期的に商業輸入されていることを示しています。総じてアジア市場は安価な量販種と、高価な愛好家向け種の二極化が進んでおり、前者はグッピーやネオンテトラ等の量産魚、後者はアロワナや錦鯉といったステータス性の高い魚という構図です。

中東・その他の新興市場の動向

 

中東では特にUAE(アラブ首長国連邦)やクウェートなどが、新興の観賞魚マーケットとして注目されています。豪華な住宅や商業施設で大型水槽を設置する需要があり、高額で珍しい熱帯魚への関心が高まっています。統計上もUAEの輸入額は近年大きく伸びており、専門サイトによれば「UAEは世界でも最も輸入が増加している市場の一つ」であると伝えられています。中東の愛好家は海水のエンゼルフィッシュなどのカラフルな海水魚、エイやサメといった大型魚、そしてアジアアロワナのような東洋的な吉兆魚にも関心を示すとされています(文化的に龍や金色を好むため)。これらは主に東南アジアから航空便で直送されるか、ヨーロッパ経由で再輸出されるケースもあります。中東市場はまだ規模こそ欧米や東アジアに及びませんが、一人当たりの単価が高くプレミアム市場として存在感を強めています。

なお、ラテンアメリカやアフリカからの需要は相対的に小さいものの、自国の豊富な生物多様性を背景に地域固有種の取引があります。例えば南米では地元産観賞魚(テトラ類やシクリッド類)の愛好家が存在し、アフリカでも富裕層を中心にシクリッドや海水魚の需要が少しずつ増えている状況です。

主な輸出供給国と流通ルート

 

観賞魚(熱帯魚)の供給元は、気候に恵まれ養殖や採集が盛んな熱帯・亜熱帯地域に集中しています。主要な輸出国としては、伝統的にシンガポールやインドネシア、タイ、マレーシア、スリランカといった東南アジア諸国が挙げられます。特にインドネシアは近年世界最大の観賞魚輸出国となっており、豊富な野生魚資源と養殖業の発達によって多種多様な魚を供給しています。またスリランカはグッピーなど淡水魚の養殖に加え海水魚の採集でも台頭し、タイもベタなど自国産の人気種を輸出しています。

一方、シンガポールはかつて世界一の輸出国でしたが、生産コスト上昇などにより相対的割合は減ったものの依然上位で、東南アジア産魚の集散地・再輸出拠点として機能しています。日本も観賞魚の輸出大国であり、特に新潟などで生産される錦鯉や高品質な金魚は海外富裕層に人気で、2023年には日本が輸出額世界一(約4,870万ドル)との統計もあります。これは錦鯉など高単価品の輸出によるものです。

さらに、南米のコロンビアやブラジル、ペルーはアマゾン川流域産のカージナルテトラ、ディスカス、コリドラスなど野生採集魚の主要輸出国です。例えばコロンビアやブラジルからは年間数千万匹規模のテトラ類が欧米や日本に輸出されています。アフリカではケニアやナイジェリアが一部輸出を行い、東アフリカ湖沼のシクリッド類や紅海・インド洋の海水魚が出荷されています。

流通ルートとしては、生体である観賞魚は迅速な輸送が求められるため、ほとんどが航空便で輸出国から直接主要消費国の空港へ運ばれます。米国の場合、ロサンゼルスやマイアミ、ニューヨークなどが主要な通関港となっており、欧州でもアムステルダム(スキポール空港)やフランクフルト、ロンドンなどがハブ空港です。オランダは欧州の流通ハブとして機能し、東南アジアからの輸入魚を一括して受け入れ各国へ転売する再輸出業者が多く、2023年統計では観賞魚輸出額が約2,274万ドルと世界5位に入るほどです。これはオランダ企業がシンガポールやインドネシアから仕入れた魚を欧州各国に供給しているためです。

総じて、熱帯魚の商業流通は「熱帯の供給国」→「先進国の消費市場」という構図が基本で、安価な大量消費魚から高級希少魚までグローバルに売買されています。その市場動向を把握するには、各国の輸入統計とともに、背後にある品種別の人気や価格帯、流通経路を総合的に見ることが重要です。本回答では統計データや市場レポートをもとに、主要市場の最新動向と長期トレンドを整理しました。

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